雨の日の学校帰り、藤宮周(ふじみやあまね)は、公園で濡れたまま、ブランコに座る椎名真昼(しいなまひる)を見かけました。
周:「「なに、やってんだ?」
真昼:「藤宮さん。私に何か御用で?」
周が、真昼と話したのは、この時が初めてでした。
周:「別に用はない。この雨の中、一人でこんなところにいたら、気になるだろう?」
真昼:「そうですか。お気遣いはありがたいですが、私はここにいたいかいらいるので、お気になさらず。」
周は傘を渡して、
周:「風邪ひくし、さして帰れよ。返さなくていいから。」
周には聞こえませんが、
真昼:「ありがとうございます。」
翌日の学校で、周はくしゃみをしています。
樹:「周。煩い。昨日まで元気だったろ?」
周:「雨に濡れた。」
樹:「昨日、傘持ってなかったけ?」
周:「人に渡した。」
樹:「あんな雨の中?お人よし過ぎないか??誰に貸したんだよ。」
周:「通りすがりの迷子の子。」
真昼のことは、親友の樹にも黙っていました。
椎名真昼は、容姿端麗、学校一の才女、運動神経抜群、誰にでも優しく接する”天使様”と呼ばれていました。
周:「(まあ、俺には縁のない世界の話だな。)」
その日の帰り、周はマンションのエレベータで、熱があって、ヤバい状態でした。
ふと見ると、周の家の前に、真昼が傘を持って待っていました。
周:「返さなくてもよかったのに。」
真昼:「借りたものを返すのは常識です。・・熱、ありますよね?」
周:「あんたには関係ない。」
真昼:「でも、わたしに傘を貸したせいで。。。」
周:「いいんだよ。」
そういって、家に入ろうとした周は、もう動ける状態でありませんでした。
周に付き添って、家に入ると、そこはごみ屋敷。
真昼:「目も当てられませんね。」
こうして、二人の関係が始まります。





















